※12月1日に施行された改正特定商取引法に対応しています。
訪問販売とは?
ここでは訪問販売のクーリングオフについて解説していきます。まず理解していただきたいのは、ここでの「訪問販売」は単に訪問形式の販売方法を指す言葉ではないということです。ここで言う「訪問販売」とは特定商取引に関する法律・2条1項が定義するものです。この定義にあてはまなければ、たとえ訪問販売の形式をとられていても訪問販売ではないという事になり、訪問販売のクーリングオフ制度の適用はありません。逆に訪問販売の形式をとられていなくても、ここで定義されているもの(キャッチセールス・アポイントメントセールスなど)は訪問販売に含まれ、訪問販売のクーリングオフ制度の適用があります。ですので、どのように定義されているかをしっかり理解しましょう。
特定商取引に関する法律2条1項が定義する訪問販売とは?
特定商取引に関する法律2条1項は「訪問販売」を以下のように定義しています。
1号.販売業者又は役務の提供の事業を営む者(以下「役務提供事業者」という。)が営業所、代理店その他の主務省令で定める場所(以下「営業所等」という。)以外の場所において、売買契約の申込みを受け、若しくは売買契約を締結して行う商品若しくは指定権利の販売又は役務を有償で提供する契約(以下「役務提供契約」という。)の申込みを受け、若しくは役務提供契約を締結して行う役務の提供
2号.販売業者又は役務提供事業者が、営業所等において、営業所等以外の場所において呼び止めて営業所等に同行させた者その他政令で定める方法により誘引した者(以下「特定顧客」という。)から売買契約の申込みを受け、若しくは特定顧客と売買契約を締結して行う商品若しくは指定権利の販売又は特定顧客から役務提供契約の申込みを受け、若しくは特定顧客と役務提供契約を締結して行う役務の提供
1号は一般的な訪問販売を定義しており、2号はキャッチセールスやアポイントメントセールスを定義しています。2号についてキャッチセールス・アポイントメントセールスのページで解説しますので、1号のみをみていきましょう。
定義の要件を整理すれば
1.販売業者又は役務提供事業者(役務の提供の事業を営む者)が
2.購入者等と
3.営業所等(営業所、代理店その他の経済産業省令で定める場所)以外の場所で
4.商品・指定権利・役務の
5.売買契約の申込みや契約の締結もしくは役務提供契約の申込みや契約を締結
となり、1~5の要件をすべて満たした取引が2条1項1号の訪問販売であるという事になります。
順番にみていくと1の販売業者はそのままの意味で商品や権利を販売する業者となります。1の役務提供事業者とはサービス(エステ、英会話教室、シロアリ駆除など)を有償で提供する事業者です。2の購入者等は消費者を意味し、5もそのままの意味です。
3の営業所等と4の商品・指定権利・役務がイマイチわかりにくいと思いますので。これらを個別にみていきましょう。
営業所等とは?
ここでのポイントは「どこで」申込みや契約がおこなわれたかということです。言い換えれば訪問販売の場所の要件です。法律2条1項はこれを営業所等(営業所、代理店その他の経済産業省令で定める場所)以外の場所と定義していますので、営業所、代理店、経済産業省令で定める場所という文言が何を指すのか正しく理解する必要があります。
営業所とは
ここでの営業所とは商法上登記を必要とする本店、支店のみでなく、広く営業の行われる場所をいい、商品の販売の場合は 販売商品を陳列した店舗、役務の提供の場合は役務提供を行う設備のある場所(例:英会話教室→教室のある場所) がこれにあたります。
代理店とは
代理店とは代理商(一定の商人のために継続・反復して、その営業に関する取引の代理や媒介をするもの)の営業所 を指します。
その他の経済産業省令で定める場所とは
経済産業省令(経済産業大臣が発する命令)では以下のように定められています。
1. 露店、屋台店その他これらに類する店
2. 一定の期間にわたり、商品を陳列し、販売する場所であって店舗に類するもの
3.自動販売機その他の設備であつて、当該設備により売買契約又は役務提供契約の締結が行われるものが設置されている場所
1のその他これらに類する店とはトラックやバスなどに商品が陳列されており、消費者が商品を選択できるようなお店をいいます。
次に2の一定の期間にわたり....店舗に類するものについてですが、通達(行政機関の内部文書。法的拘束力はないとされるが、法令の解釈を内容とする場合は、行政機関がこれに沿って事務を行うことで事実上の強制力が生ずると考えられる)は以下のすべての要件をみたすものとしています。
イ.最低2、3日以上の期間にわたって
ロ. 商品を陳列し、消費者が自由に商品を選択できる状態のもとで
ハ.展示場等販売のための固定的施設を備えている場所で販売を行うもの
要するにホテル、イベント会場、体育館、集会場などで行われる展示販売も2,3日以上の期間にわたって、商品を陳列して、消費者が自由に商品を選択できるような場合は店舗に類するものと認めますという事です。いわゆるSF商法(商品の無料配布なので消費者を会場に招きいれ、その後たくみに消費者の購買意欲をかきたて、雰囲気の高まったところで、羽根布団などの高額商品を購入させる商法)は商品が最初から陳列されていない場合が多く、消費者が自由に商品を選択できる環境とはいえないので、上記の要件をみたしていないというのが通例です。
最後に3の自動販売機その他の設備....設置されている場所ですが、自動販売機や郵便ポスト、コインロッカー、有料道路の料金所などがこれに該当します。
商品・指定権利・指定役務とは?
これまで訪問販売のクーリングオフ制度の対象は取引一般としているのではなく、政令(内閣が定める命令)により対象を指定する指定制がとられていました。しかし、平成21年12月1日に施行された改正特定商取引法では、商品、役務(サービス)の指定制が廃止となり、原則としてすべて商品・役務がクーリングオフの対象となりました。しかし、規制がふさわしくないものは法律と政令で除外されています。注目の生鮮食料品は「相当の期間品質を保持することが難しく、品質の低下により価額が著しく減少するおそれがある商品として政令で定めるもの」として除外対象でしたが、昨今のカニ販売トラブル等に鑑み、これに対応する政令条項は現在のところ(09年12月)定められておらずクーリングオフの対象となりました(今後、過剰規制にあたるものは政令で除外するような形になると思われます)。尚、指定権利は改正特定商取引法でも維持されます。
指定権利(クーリングオフできる権利)とは?
指定権利とは施設の利用や役務の提供を受ける権利のなかで国民の日常生活に係る取引において販売されるもので政令で定めるものと特定商取引に関する法律2条4項で定義されており、具体的にはこちらとなります。リゾートクラブの会員権やゴルフクラブの会員権、スポーツクラブの会員権、英会話サロンの利用権などがこれにあたります。
訪問販売まとめ
長くなってしまいましたが、特定商取引に関する法律2条1項1号は「だれが」「だれと」「どこで」「なにを」「約束したか」ということを定義しているだけです。整理すると
【誰が】 → 販売業者又は役務提供事業者が
【誰と】 → 購入者等と
【どこで】 → 営業所等以外の場所で
【何を】 → 商品・指定権利・役務を
【約束したか】 → 申込みや契約
となり、実際にクーリングオフを行う上で問題となるのは、この中の「どこで」「何を」という要件です。後は「営業所等」「商品・指定権利・役務」が何を指すかさえ理解できていれば、何が訪問販売に該当するかは容易に判断できると思います。
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