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連鎖販売取引(マルチ商法)とは?

ここでは連鎖販売取引について解説していきます。連鎖販売取引は一般的にマルチ商法と呼ばれ、マルチ商法とはマルチレベル・マーケティングシステム(多段階販売方式)の略称の事です。最近ではネットワークビジネスとも呼ばれています。特定商取引に関する法律では、このマルチ商法を連鎖販売取引と定義して規制しています。まずは連鎖販売取引を定義している特定商取引に関する法律の33条1項を見てみましょう。

この章並びに第六十六条第一項及び第六十七条第一項において「連鎖販売業」とは、物品(施設を利用し又は役務の提供を受ける権利を含む。以下同じ。)の販売(そのあつせんを含む。)又は有償で行う役務の提供(そのあつせんを含む。)の事業であつて、販売の目的物たる物品(以下この章において「商品」という。)の再販売(販売の相手方が商品を買い受けて販売することをいう。以下同じ。)、受託販売(販売の委託を受けて商品を販売することをいう。以下同じ。)若しくは販売のあつせんをする者又は同種役務の提供(その役務と同一の種類の役務の提供をすることをいう。以下同じ。)若しくはその役務の提供のあつせんをする者を特定利益(その商品の再販売、受託販売若しくは販売のあつせんをする他の者又は同種役務の提供若しくはその役務の提供のあつせんをする他の者が提供する取引料その他の経済産業省令で定める要件に該当する利益の全部又は一部をいう。以下この章において同じ。)を収受し得ることをもつて誘引し、その者と特定負担(その商品の購入若しくはその役務の対価の支払又は取引料の提供をいう。以下この章において同じ。)を伴うその商品の販売若しくはそのあつせん又は同種役務の提供若しくはその役務の提供のあつせんに係る取引(その取引条件の変更を含む。以下「連鎖販売取引」という。)をするものをいう。


定義の要件を整理すれば

1.物品(施設利用・役務提供を受ける権利を含む)の販売(そのあっせんを含む)または有償で行う役務提供(そのあっせんを含む)の事業であって
2.再販売、受託販売もしくは販売のあっせんをするもの、または同種役務の提供もしくはそのあっせんをする者を
3.特定利益を収受し得ることをもって誘引し
4.特定負担を伴う商品の販売もしくはそのあっせん、または役務の提供もしくはそのあっせんに係る取引をすること


となり、ざっくりと説明すると、業者が相手方とマージンなどの特定利益が得られると勧誘し、加盟金などの特定負担を伴う、商品の販売・役務提供やそのあっせんの取引をすること、となります。

細かい部分を順番に見ていきましょう。


1の要件

まずは1の要件である物品(施設利用・役務提供を受ける権利を含む)の販売(そのあっせんを含む)または有償で行う役務提供(そのあっせんを含む)の事業者をみていきましょう。

物品とは?

ここでの物品とは有体物としての動産を指し、不動産は含まれません。指定制はとられていないので、アクセサリー、鍋、印鑑、洗剤、健康食品、自動車用品などなど、すべてのものが対象となります。

施設を利用しまたは役務の提供を受ける権利とは?

施設を利用したり、サービスを受けるための権利のことです。施設はビルや建物などの建築物に限られず、ゴルフ場や公園なども対象となります。

あっせんとは?

あっせんとは販売の相手方をみつけて、販売の仲立ちをすることです。

事業とは?

事業であるためには反復継続して行うこと、またはその意思が必要です。



2の要件

続いて2の要件である再販売、受託販売もしくは販売のあっせんをするもの、または同種役務の提供もしくはそのあっせんをする者を見ていきましょう。

再販売とは?

再販売とは商品を買い受けて他の者に販売することをいいます。自分ですべてを消費する場合は単なる消費者になりますが、再販売するつもりで購入し、結果的に自己消費した場合は再販売する者に該当します。

受託販売とは?

受託販売とは販売の委託を受けて商品を販売することをいいます。取次ぎや代理などの如何を問わず、商品の所有者等から販売の委託を受けて行う販売はすべて受託販売となります。

同種役務の提供とは?

同種役務の提供とは、その役務と同一の種類の役務の提供をすることをいいます。種類とは一般人がいかなる役務なのかを認識できる程度のもので良く、絵画のレンタル、ダンスのレッスン、観賞用植物のレンタルなどが、これにあたります。このレベルにおいて、有償で行う役務の事業を行う者が提供する役務と同一の役務の提供するものであれば、同種役務の提供をする者に該当します。


3の要件/特定利益とは?

続いて3の要件である特定利益を収受し得ることをもって誘引についてです。ここで重要なポイントは特定利益です。この特定利益を33条は「その商品の再販売、受託販売若しくは販売のあつせんをする他の者又は同種役務の提供若しくはその役務の提供のあつせんをする他の者が提供する取引料その他の経済産業省令で定める要件に該当する利益の全部又は一部をいう」と定めています。その他経済産業省令で定める要件が何であるかを見ていきましょう。省令24条ではこの要件を以下のいずれかとしています。


(1) 商品の再販売、受託販売若しくは販売のあつせんをする他の者又は同種役務の提供若しくは役務の提供のあつせんをする他の者が提供する取引料により生ずるものであること。
(2) 商品の再販売、受託販売若しくは販売のあつせんをする他の者に対する商品の販売又は同種役務の提供若しくは役務の提供のあつせんをする他の者に対する役務の提供により生ずるものであること。
(3) 商品の再販売、受託販売若しくは販売のあつせんをする他の者が取引料の提供若しくは商品の購入を行う場合又は同種役務の提供若しくは役務の提供のあつせんをする他の者が取引料の提供若しくは役務の対価の支払を行う場合に当該他の者以外の者が提供する金品により生ずるものであること。


わかりにくいと思いますので実例を交えて順番に見ていきましょう。

(1)の要件

(1)は組織の他の加盟者(またはこれから加盟しようとする者)が提供する加盟金、保証金などの取引料から生じる利益のことです。例えば「あなたが勧誘して組織に加入する人の取引料の20%があなたのものになる」と勧誘した場合がこれに該当します。尚、取引料とは組織への加入、または組織内での昇進にあたって負わせる経済的負担をいいます。加盟料、保証金、入会金、リクルート料、設備費などなど名義の如何に関わらず取引料になります。

(2)の要件

(2)は組織の他の加盟者(またはこれから加盟しようとする者)に対する商品販売や役務の提供により生じる利益のことです。例えば「あなたが勧誘して組織に加入する人が購入する商品の代金(提供を受ける役務の対価)の20%があなたのものになる」といって勧誘する場合がこれに該当します。

(3)の要件

(3)は組織の他の加盟者(またはこれから加盟しようとする者)が取引料または代金を支払う場合に、その加盟者以外の者が提供する金品により生じる利益のことです。例えば「あなたが勧誘して組織に加入する人があれば統括者(一連の連鎖販売業を実質的に統括する者)から2万円がもらえる」といって勧誘する場合がこれに該当します。


4の要件/特定負担とは?

最後は4の要件である特定負担を伴う商品の販売もしくはそのあっせん、または役務の提供もしくはそのあっせんに係る取引をすることです。ここで重要なポイントは特定負担です。33条1項はこの特定負担をその商品の購入若しくはその役務の対価の支払又は取引料の提供をいうと定義しています。要するに特定負担とは連鎖販売取引をするために伴う負担のことです。再販売等をはじめる際または販売条件、特定利益等の取引条件を変更する際に、商品の購入、役務の対価の支払い、取引料の提供のいずれであるかを問わず、その取引に伴う金銭的負担は特定負担となります。この特定負担をともなう商品の販売・あっせんや、役務の提供・あっせんの取引であることが4の要件です。


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